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クシマクロビオティックスから見た、精神と感情の障害の原因と対応方法について説明します。

つい最近、筆者も精神疾患と思われる方に遭遇しましたので、対応方法を見てみたいと思います。

極端ではありますが、軍のサバイバルマニュアルなどを見ても、想像以上に紙面を多く割いて説明しているのは、実はメンタル面についてなのです。メンタル面がおぼつかないと、生存以前の問題になってしまいますので、予防的な観点としても、注意しておきたいものです。

日本で精神疾患で医療機関にかかっている患者数は、平成23年で320万人とされ、現在でも300万人を超えているとされます。そして、近年、患者数が大幅に増加しているとしています。

精神疾患の中には、うつ病や統合失調症、そううつ病(双極性障害)、偏執症、その他の疾患が含まれるとされます。他にも、不安感や慢性的な怒り、虐待、ネグレクト、不安定感、恐怖症に悩む人も多いとされます。患者の内訳としては、うつ病や統合失調症、不安障害、認知症の順で患者数が多いとされ、近年は、うつ病や認知症が著しく増加しているとしています。

現代社会における、精神的問題への対処は、それがあたかも肉体的な問題と無関係であるかのように扱っているとしています。

マクロビオティックの観点からすると、身体的不均衡と精神的、感情的な不均衡は不可分であるとしています。

身体的な疾患は、精神的、感情的な疾患の直接的な原因になる場合が多く、思考や気分は、身体に直接の影響を及ぼしているとしています。また、健康と幸福を希求する心理学的取り組みの多くは、不幸の原因を無視して行われているとしています。医薬品や薬物、心理療法は、いずれも日々の食事や生活様式による要因を注目せず、問題の根源について把握することを怠っているとしています。

実際に、マクロビオティック食事療法を行う場合には、必ず事前に専門家に相談するようにしてください。
西洋現代医学のほかにも、対応方法があるかもしれないということは認識しておきましょう。

▼前提
致命的な症状が疑われる場合や致命的な現象を引き起こしかねない状況が想定される場合には、まずは至急、西洋医学などで医師の受診を受けてください。ここでは、予防的な観点を中心に、原因や対応方法について説明します。

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1 症状
精神と感情の障害では、以下のような症状が見られるとしています。

▼肉体的な症状

  1. 赤ら顔
  2. 不整脈
  3. アレルギー
  4. 皮膚炎、そばかす
  5. 便秘または下痢
  6. 緊張病
  7. 刺すような痛みやまひ
  8. 頭痛

▼精神的、社会的な症状

  1. 物忘れ、記憶喪失
  2. 思考が不明瞭で、焦点が定まらない
  3. 考えすぎ、もしくは全く考えない
  4. 疲労
  5. ストレス
  6. 神経過敏
  7. (過度な)興奮状態、はしゃぎすぎ
  8. 方向性の喪失

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2 原因

  1. 周囲の環境に調和しない生活を送ると、不均衡が生じて、次第に不調や疾患が引き起こされるとしています。
    第1段階は、心身両面の全身疲労状態で、倦怠や不平、思考や行為に明瞭さが無くなる、頻繁な心変わり、といった症状が現れるとされます。
    第2段階は、肉体的な痛みやうずき、悲しい気分、自信を失う、物忘れ、記憶があいまい、頑固、重要でないささいな物事にとらわれる、といった症状とされます。
    第3段階では、血液の質に弱体化が見られ、赤血球細胞や白血球細胞、血漿が弱まるに従い、酸性症、高血圧、低血圧、貧血、皮膚疾患などの症状が現れるとされます。また、いらいらや過敏症、恐怖感、短気、落ち込み、臆病、人生の方向性喪失などが付随して見られるとしています。


  2. 食事や生活様式が修正されず、血液の質の劣化が継続すると、怒りやせっかち、失望感、過度の興奮、疑念、猜疑、引きこもり、概念的で妄想的な思考、といったような慢性的な感情の不均衡が起きてくるとしています。

  3. 次の段階では、臓器の疾患が起き、内臓や腺に構造的な変化や機能不全、衰退が見られるようになるとされます。
    肉体的には、心臓病や癌、多発性硬化症などの退行性疾患が現われるとしています。
    また、精神的には、慢性的な頑固さ、偏見、狭量、偏狭な人生観、日常生活の継続について支障が現われるとしています。
    そして、潜在的な劣等感や優越感といった固定観念が、自己中心的な考え方として現われるようになるとされます。
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  4. 退行的傾向が継続すると、次の段階では、多様な神経疾患が引き起こされるとされます。
    肉体的には、一貫性の欠如や部分的または全般的なまひ、その他の筋肉および骨格に見られる症状として現われるとしています。
    精神的には、否定的人生観を抱くようになり、自尊心の喪失や混沌とした言動、統合失調症、偏執症、自暴自棄、破壊的傾向が現われるとされます。


  5. 最終段階として、利己的さや自己中心さ、うぬぼれ、自尊心、独占的、自己正当化などを含んだ傲慢さが現われるとされます。
    この段階に至ると、全世界が自分と敵対しているように思われ、自分の病気や困難が、自らの食事や生活様式とは全く無関係なものとして見なし、他人を操作したり強制したりするような行動に移るか、または全てを諦めて、内面世界の空想や幻想に引きこもるようになるとしています。


  6. 脳は、構造と機能において、腸と関連性があるとしています。
    どちらの臓器も、細く引き締まった長い管に、多くのらせん状の回旋を伴って、腸では肉体的食べ物を処理し、脳では振動や波動の形で精神的食べ物を処理しているとしています。
    腸に起きた問題は、正常な意識に反映されることが多いとされます。たとえば、便秘は思考を妨げ、物事を完結するのを困難にするとしています。
    一方、下痢の場合、しゃべりすぎやとめどのない発話といった、言語的な排出作用が、症状に先立つか、または付随して見られるとしています。


     

  7. エネルギー中枢のチャクラ*1も、意識や精神的、心理的過程に寄与するとしています。- 頭頂のクラウンチャクラ:普遍的意識をつかさどる。- 中脳のチャクラ(第3の眼とも呼ばれる):直感と精神的過程の全般を統括する。
    – 喉のチャクラ:発話や表現を支配する。
    – 心臓のチャクラ:感情的な成長や、愛情を含む総体的な運命を支配する。
    – みぞおちのチャクラ:肝臓や脾臓(ひぞう)、腎臓などの臓器に分岐して、知性や勇気、思いやり、忍耐などの資質をつかさどる。
    – 腸のチャクラ:全般的な社会的成長を支配する。
    – 生殖器のチャクラ:感情を含めたあらゆるレベルの再生をつかさどる。


  8. 砂糖など極陰性の食品は、精神と感情の障害を引き起こす主要原因の1つとしています。
    明晰な判断力は、砂糖やチョコレート、はちみつ、その他の精製甘味料に影響されるとしています。
    腸内細菌は、脳に供給されるビタミンB群の合成に関与し、グルタミン酸の形で、神経や高度な意識中枢に刺激を与えているとされます。砂糖などの単糖類は、この過程を阻害するものであり、脳の細胞や組織を拡張し、結果として焦点がぼやけ、集中力や思考の明晰さが失われるとしています。
    血糖値の不均衡は、幼年期から見られる場合が多く、落ち込みや悲嘆につながるとしています。


  9. 強力な収縮作用を持つ極陽性な食品も、極陰性食品と同様に、感情の問題を引き起こし、特に執着心や所有欲、罪悪感を抱くようになるとしています。
    誰でも、人生のある時期に、何らかの困難や不幸を経験しますが、こうした否定的経験をうまく切り抜けられる人がいる一方、いつまでも過去の記憶に執着し、とらわれ、すでに起きた出来事の追体験を繰り返す人がいるとしています。
    こうした状況は、おもにパン類や、硬く焼き締めた小麦粉製品の摂りすぎによって、脳や神経、チャクラの硬化と収縮が引き起こされ、過去の記憶が手放せなくなった状態であるとしています。
    肉類や卵、魚介類などの動物性食品や、塩分の摂りすぎも、同じように感情を内にこもらせて、解放できなくさせるものであるとしています。


  10. 日本の怒りを示す漢字である「癇癪(かんしゃく)」は、肝臓疾患を意味しているとされます。
    短気や怒り、癇癪(かんしゃく)、攻撃的行為は、肝臓や胆のうが、余剰の代謝エネルギーを乱暴な方法で排出させたもので、働きすぎや閉塞した結果として起こることが多いとしています。
    これとは対照的に、肝臓や胆のうの健全さは、平穏や忍耐、粘り強さなどの落ち着いた資質と関連するとしています。
    特に、動物性食品が怒りや癇癪(かんしゃく)を引き起こすものであり、中でも肉類や卵、チーズなどの乳製品、大量の魚介類が要因になるとされます。
    また塩や塩分が多い食品の摂りすぎ、その他の極陽性な食品、加工方法、調理方法も、肝臓の硬化と働きすぎを引き起こすとしています。
    一方、砂糖や精製甘味料、脂っぽい食品、大量の果物や果汁、精白穀物、軽い乳製品、スパイス類のような極陰性食品は、肝臓の閉塞につながるか、または陽性エネルギーを肝臓や胆のうに集積させて、火山の噴火のごとく、急速かつ無秩序に、怒りや癇癪(かんしゃく)として排出させるものとしています。
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3 個別の症状について

3-1 ストレス
3-2 恐怖症、強迫観念、衝動強迫
3-3 うつ状態
3-4 PTSD(心的外傷後ストレス障害)
3-5 季節性感情障害(SAD)
3-6 統合失調症

4 症状の解消
個別の症状について のそれぞれの記載に従います。

ほかにも注意点や特別な料理や飲みもの、外側からの家庭療法など、多くの対応方法が紹介されています。一部を紹介しますので、専門家への相談の際に確認するとよいのではと思います。なお、手当ての頻度や期間は、患者の状態や症状の重さによって異なるものとされます。

  1. 精神的、感情的な問題を引き起こす沈滞した状態は、瞑想や歌唱で解消できる。こうした方法は、自律神経を刺激して、体内の余剰物質の排出を促進させるものである。
  2. 毎日30分程度歩くなど、適度な運動を行うのが効果的。指圧やヨガ、太極拳、ダンスなども効果がある。精神や感情に障害を抱える人の大部分は、もっと運動をする必要がある場合が多い。
  3. 症状に合わせて、以下の特別な料理を作り、5~10日間、毎日摂る。
    こうした食材は、それぞれの感情と、関連する臓器の正常化に役立つ。
    ・ しゃべりすぎや注意力散漫には、米か粒蕎麦のシチュー
    ・ 怒りには、雑穀か米のシチュー
    ・ 心配性には、オオムギか蕎麦のシチュー
    ・ 悲嘆には、オオムギかトウモロコシのシチュー
    ・ 様々な感情が複合する症状には、うどんや多種類の野菜、豆腐、セイタン*2などを入れた野菜鍋を作る。なお、類似する料理として、上記よりいくぶんか効果が強いのは、ほうとうである。
  4. ゴマ塩を小さじに1杯や梅干し、鉄火味噌を小さじに1杯、その他の塩味のふりかけ類を摂ると、精神を集中させるのに役立つ。これらは、砂糖の摂りすぎなど、極陰性状態から発生する注意力散漫のような症状を中和させるのに、特に効果的。
  5. 貧血などを伴う、極陰性要因による精神や感情の症状には、ヨモギ餅や玄米餅入り味噌汁、ゴボウのきんぴら、自然薯(ヤマイモ)、餅、きんぴらスープなどの強力な食品を摂るとよい。重症の場合は、鯉こくを摂るとよい。
  6. 特に湯に塩を加えた熱い足湯は、体内のエネルギーを下降させ、多動症を含め、精神や感情をリラックスさせる。

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5 留意点

  • 精神と感情の障害が重度の場合は、西洋医学の医師や精神科医、その他の専門家の診察を受けることが必要であるとしています。その際、大半の場合で、バランスがとれた食事や適度な運動、より自然な生活様式などを含め、マクロビオティックによる取り組みを、精神と肉体の包括的取り組みの一環として認めてもらえることが多いとされます。

*1 チャクラ(Chakra)
古代インドで使われていたサンスクリット語で、「車輪」、「円」、「(光の)輪」という意味であるとされる。エネルギー(=気)が渦を巻きながら、出たり入ったりする人体の場所のことを指しており、主要なものは7つある。ヨガやアーユルヴェーダでは、馴染みのある言葉とされる。

*2 セイタン(seitan)
小麦から取りだされたグルテン(蛋白質)を主原料とした加工食品で、マクロビオティックでは肉の代わりに使われる。グルテンミートと呼ばれることもある。海外では、セイタンという名称が一般的。グルテンを主原料にした食品は、ほかに麩が有名。


THE マクロビオティック 久司道夫 マガジンハウス

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