クシマクロビオティックスから見た、炭疽菌(炭疽)の対応方法について説明します。
2016年8月上旬に、ロシア北部同自治管区にあるヤマル(Yamal)半島で、炭疽菌への集団感染が発生していると、AFP通信が報道していました。
この集団感染の原因は、炭疽菌に感染したトナカイの死がいが、溶けだした永久凍土から露出して、他の動物に感染したことと推測されています。
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局地的な温暖化によって、永久凍土が溶けて、今だ見たことも聞いたこともないような病原体が、発達した交通機関によって世界中に拡散される危険性は、今後も否定できないと考えられます。
一般的には、免疫が健全な状態であれば、かなりのところまでは生存可能だと考えられますが、免疫機能が病気になるすれすれの状態にあると、生存は難しいと考えられます。いざというときのためにも、対応方法をみてみたいと思います。
炭疽は、炭疽菌の感染から起こり、人間にも動物にも感染するとされます。
人間への感染では、皮膚炭疽や腸炭疽、肺炭疽などがあるとされます。なお自然からの感染では、95%以上が皮膚炭疽とされます。人間は、一般的には、牛などの草食獣に比べると、抵抗力があるとされます。
炭疽は、世界の多くの地域で発生しているとされ、途上国や獣医衛生が遅れている国々に多いとされ、今日でも、年間で約2万人と約100万頭の感染があるとされます。
世界的には、スペイン中部からギリシャ、トルコ、イラン、パキスタンに及ぶ地域が、炭疽ベルトという汚染地域であるとされ、ほかにロシアや中央アフリカ、南アメリカでも発生が見られるとされます。
炭疽は、一般的には、ヒトからヒトへの感染はないとされます。
炭疽菌は、主に牛やヤギ、羊、鹿などの反すう動物や、羊毛、皮革などを扱う職業に携わった人々の間で流行したため、古くから羊毛集め病として知られていたとされます。
また、生物兵器としての炭疽菌は、粉末状に精製加工され、微細な胞子としてばらまかれて、肺の奥深くまで吸引され、体液との接触で活性化するとされます。
この炭疽菌の胞子は、極めて安定性が高く、日光や熱、消毒薬の多くにさらされても変質せず、休眠したまま数十年間から数百年間も生存するとされます。
炭疽には、主に次のような種類があります。
- 皮膚炭疽
皮膚炭疽は、最もよく見られ、汚染された肉や羊毛、皮革、感染した動物の革で作られた製品と人体との接触などから引き起こされ、感染してから症状が現われるまでの潜伏期間は、1~12日とされます。皮膚炭疽では、はじめ小さな吹き出物ができ、それが1~2日で小さな水疱に成長し、やがて黒い壊死状態になるとされます。ふつう、痛みはないとされますが、患者には発熱や不快感、頭痛、部分的なリンパ節の腫れなどの症状が見られるとしています。皮膚炭疽は、感染の初期に抗生物質を使う処置が有効で、成功率は99%とされます。なお抗生物質を使わない場合の生存率は、約20%とされます。
- 吸入炭疽(肺炭疽)
吸入炭疽(肺炭疽)は、感染のはじめは、インフルエンザやふつうの風邪に似た症状が出るとされますが、次第に、呼吸困難や出血、浮腫、発作などが起こり、死に至るとされます。潜伏期間は、1~7日から最大で60日まで幅が見られるとされます。吸入炭疽(肺炭疽)は、抗生物質を投与したとしても、死亡率は約75%とされます。
- 胃腸炭疽(腸炭疽)
胃腸炭疽(腸炭疽)は、ふつう、生か調理が不十分な、汚染された肉を摂取した場合に発症し、潜伏期間は1~7日間とされます。胃腸炭疽(腸炭疽)の死亡率は、25~50%とされます。
炭疽感染時に使われる抗生物質は、大半の場合に効果が見られるとされますが、激しい副作用があり、菌に抗生物質への耐性が生じる結果として、将来的に衰弱したり、他の感染症や疾患にかかりやすくなったりするとしています。
同じく、炭疽菌ワクチンは、湾岸戦争時にアメリカ陸軍で見られた強度の反応作用に、警告を発する医療専門家もいるとしています。
アメリカでは、抗生物質とワクチンの双方で、炭疽菌に直接触れた場合以外での使用は断念し、使用にあたって、危険性と効果を十分に検討するよう促しているとされます。
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実際に、マクロビオティック食事療法を行う場合には、必ず事前に専門家に相談するようにしてください。西洋現代医学のほかにも、対応方法があるかもしれないということは認識しておきましょう。
▼前提
致命的な症状が疑われる場合には、まずは至急、西洋医学などで医師の受診を受けてください。ここでは、予防の観点を中心に、原因や対応方法について説明します。
▼症状の予防と解消
陰性傾向に対応した食事(標準食から陽の要因をわずかに強調する方向で、食事内容を修正)に従うか、または動物性食品を大量に摂取している場合には、陰陽両極端が併合した症状のための、中庸の食事に従います。
なお、炭疽菌への感染を予防する家庭療法の主軸になるものは、梅干しと醤油、茎番茶で作った梅しょう番茶であるとしています。
毎日、小さなカップに1杯ずつ、3週間飲み、その後の数週間は、1日おきか欲しいときに飲み、それ以降はやめるか徐々に分量を減らしていくとしています。
また、アメリカの911テロに付随した炭疽菌攻撃の際には、アメリカのマクロビオティックコミュニティーの人々の中に、梅干しや味噌、海藻、その他の治癒効果のある食品を摂っていた人がいるとされます。
こうした食品は、血液やリンパ、その他の体液を強化し、特に感染症に対する自然な免疫力を高める目的で、極東地域において伝統的に摂取されてきたものとされます。
そのほか、以下のような注意点があります。一部だけ紹介しますので、専門家への相談の際に確認するとよいのではと思います。
- 味噌汁は、血液のアルカリ化を促進して、肝臓と脾臓(ひぞう)を強化し、感染症の回避に効果的。有機栽培の麦や玄米、大豆だけで作られた八丁味噌*で、少なくとも2年間かけて熟成されたものを使うと最も効果的。
- 海藻類には強力な解毒作用がある。毎日少量ずつ、スープに入れたり、ふりかけにしたり、副菜にしたりして摂るとよい。危機的な症状が見られる場合には、いくぶんか多めの分量と頻度で摂るとよい。
▼留意点
実際に炭疽菌に感染したり、テロなどによって、病原菌による疾患が見られたときには、至急に、迅速な医療処置を講じること。こうした医療処置とあわせて、免疫系を強化し、医療処置による副作用を軽減するため、食事療法を実践するとよい。
* 八丁味噌
愛知県で作られてきた、米麹や麦麹を使わずに、原料の大豆全てを麹にした豆麹で作られる豆味噌の1つ。長期間(1年半~2年以上)熟成され、濃い赤の褐色をしており、腐敗を防ぐため塩分濃度を高めているために、独特なうまみがあるとされる。
*THE マクロビオティック 久司道夫 マガジンハウス
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