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海藻について説明します。

もともと海藻は、栄養価が非常に高いとされていると思います。
クシマクロビオティックスの標準食でも、日常的な基本食に海藻が入っています。

海藻にはいろいろな栄養素がありますが、カルシウムを例にとってみると、以下のようになっています。久司道夫 久司アヴェリン偕代共著 マクロビオティック食事法<上> 日貿出版社より引用します。

ちなみに牛乳は100グラム中、118ミリグラムです。

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▼海藻100グラム中に含まれる、カルシウムの量
種類 ミリグラム
寒天 400
アラメ 1170
ダルス(イギリスの海岸でとれる) 567
ヒジキ 1400
コンブ 800
海苔 400
ワカメ 1300

カルシウムだけをとっても、栄養価は高いですね。

海の汚染が懸念されますが、やはり海藻は、日常的に摂るようにしたいものです。

ただし、この場合に注意したいのは、摂取したカルシウムの吸収には、リンの摂取量とバランスが必要とされることです。

カルシウムとリンを摂取する比率を、1:2~2:1にした場合に、カルシウムの吸収が良くなるとされます。そして、この比率以上にリンを摂取していた場合には、カルシウムの吸収が悪くなるとされます。

リンは、インスタント食品などの加工食品に多く含まれます。そのため、こうした加工食品を多く摂る人や子どもでは、いくらカルシウムが多く含まれている食品を摂っていたとしても、体に吸収されないために、精神的に不安定になったり、いわゆるキレやすくなったりすると言われます。

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日常的に摂ることの多い、海藻類のミネラルやビタミンについては、次のようになります。表中の情報は、海藻の栄養学―若さと健康の素― 大房剛 成山堂書店から引用します。

▼海苔100グラム中に含まれる、ミネラルやビタミンの量(mg)
成分 乾燥海苔 焼き海苔
ナトリウム 610 530
カリウム 3100 2400
カルシウム 140 280
マグネシウム 340 300
リン 690 700
10.7 11.4
亜鉛 3.7 3.6
0.62 0.55
マンガン 2.51 3.72
カロチン 43 27
レチノール当量 7.2 4.6
ビタミンE 4.3 4.6
ビタミンK 2.6 0.39
ビタミンB1 1.21 0.69
ビタミンB2 2.68 2.33
ビタミンB6 0.61 0.59
ビタミンB12 0.078 0.058
ナイアシン 11.8 11.7
葉酸 1.2 1.9
ビタミンC 160 210

▼ワカメ製品100グラム中に含まれる、ミネラルやビタミンの量(mg)
成分 乾燥素干し 素干し水戻し
ナトリウム 6600 290
カリウム 5200 260
カルシウム 780 130
マグネシウム 1100 130
リン 350 47
2.6 0.5
亜鉛 2.6 0.5
0.08 0.02
マンガン 0.32 0.06
カロチン 7.8 1.2
レチノール当量 1.3 0.2
ビタミンE 1 0.2
ビタミンK 0.66 0.12
ビタミンB1 0.39 0.05
ビタミンB2 0.83 0.08
ビタミンB6 0.09 0.02
ビタミンB12 0ではないが微量 0ではないが微量
ナイアシン 10.5 0.3
葉酸 0.44 0.046
ビタミンC 27 3

▼コンブ製品100グラム中に含まれる、ミネラルやビタミンの量(mg)
成分 マコンブ素干し リシリコンブ素干し
ナトリウム 2800 2700
カリウム 6100 5300
カルシウム 710 760
マグネシウム 510 540
リン 200 240
2.4 2.4
亜鉛 0.8 1
0.13 0.05
マンガン 0.25 0.22
カロチン 1.1 0.85
レチノール当量 0.19 0.14
ビタミンE 0.9 1
ビタミンK 0.09 0.11
ビタミンB1 0.48 0.8
ビタミンB2 0.37 0.35
ビタミンB6 0.03 0.02
ビタミンB12 0 0
ナイアシン 1.4 2
葉酸 0.26 0.17
ビタミンC 25 15

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その他、海藻には腫瘍を治す力があることも、1974年に「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディスン(The Japanese journal of experimental medicine.)」誌上で報告されています。アジアでよく食べられている数種類のコンブが、動物実験で腫瘍の治療に効果があったとされているそうです。

久司道夫 久司アヴェリン偕代共著 マクロビオティック食事法<下> 日貿出版社より引用します。

カナダのマギル大学の科学者たちは、一九六〇年代と一九七〇年代に、よく食べられる海藻には、放射能を発するストロンチウムをつかまえて体外に排出する働きをもつ多糖物質が含まれている、と報告している。それは、アルギン酸ナトリウムという物質で、大西洋岸と太平洋岸でとれたコンブ、ケルプをはじめとする褐藻類から抽出されたものであった。「海藻は核分裂によって発生する放射性物質の体内への吸収をさまたげるうえに、汚染物質の体外への排除をうながすものとして利用できる可能性もあるので、実際に役立つ重要な食品であり、それゆえ、さまざまな海藻の生物学的活動を研究し、評価することが大切になる」と、マギル大学の研究者たちは『カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル』誌に発表した報告のなかで結論している。

アルギン酸は、コンブやワカメに約30%程度が含まれているとされ、海藻を水につけた際に出るネバネバしたもののほとんどがアルギン酸とされます。一般的には、アルギン酸と呼ばれるものの多くが、アルギン酸ナトリウムを指していると言われています。

また、1970年代と1980年代のはじめに、日本の医学研究者たちが行ったマクロビオティック食品の調査では、次の食品が、癌や心臓病を予防するものであることを発見したそうです。

  • よく食べられている海藻(ワカメ、コンブ、ヒジキ、アラメなど)
  • 味噌汁
  • シイタケ

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昔から、海藻類は体によいとされ、いろいろな治療に使われてきたようですが、それらの理由についても、科学的な研究が進むことで、分かってきたことがあるようです。

ふたたび 久司道夫 久司アヴェリン偕代共著 マクロビオティック食事法<下> 日貿出版社から引用します。

最近の科学的な研究で、こうした民間で信じられてきたことの多くが真実であると認められ、海藻には細菌、真菌、ウイルス、腫瘍をおさえる強力な力があることが確認されている。コンブ、ワカメ、海苔、ヒジキといったよく用いられる海藻には、血中のコレステロール値をさげ、高血圧をおさえ、動脈硬化を予防し、脂肪の代謝をよくする働きがあることが、日本で行われた動物実験で明らかになっている。海藻のなかには、体内で自然につくられる抗凝血作用をもつヘパリンという物質に似た抗凝血物質を含んでいるものも、いくつかあることがわかっている。ヘパリンは、凝血をふせぐために心臓病患者によく静脈注射されるものである。

最後に、海藻のポイントをまとめておきます。

  • 海藻には、細菌や真菌、ウイルス、腫瘍を抑える力がある。ほかにも、血中のコレステロール値をさげ、高血圧をおさえ、動脈硬化を予防し、脂肪の代謝をよくする働きがある。
  • 放射性ストロンチウムを体外に排出する働きをもつアルギン酸ナトリウムが、よく食べられている海藻に含まれている。
  • 栄養価も高いので、海の汚染には気をつけるようにして、日常的に海藻を摂ることをお勧めしたい。

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