大麻の有用性について説明します。
このところ大麻が世間を賑わせています。ここでは、薬物としての大麻の話は、ひとまず置いておいて、大麻全般の有用性について、筆者の意見を述べてみたいと思います。
今後解禁された場合、まず必要になると思われる分野は、農業分野であると筆者は考えていますので、ひとまずは自給コンテンツの中に置いておきます。
現在、日本においては、大麻は、GHQの指示によって、1948年に作られた大麻取締法で禁止されています。
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大麻取締法違反で逮捕されれば、初犯でも懲役1年、執行猶予3年が相場で、逮捕が2度目以降になった場合には実刑になるのが一般的とされ、一般のマスメディアでは大きく報道されることも多いので、現時点では厳重に禁止されているのは、日本では皆知っていることと思います。
大麻取締法では、所持と栽培、輸出、輸入、譲渡、受け取りを禁止していますが、使用は禁止していません。そもそもなのですが、この法律は、薬物から国民を守る法律ではなくて、大麻の流通を阻止するためのものと思われます。
ちなみに、日本の歴史を振り返ってみると、大麻(麻)は、古来から日本の分化と深い関わりがあったとされ、特に皇室や神社と関係があるとされます。
神社の注連縄(しめなわ)もそうですし、縄文時代の遺跡からは麻の衣服片も見つかっており、日本では、歴史の中で大麻が禁止されているのは、ここ70年くらいだけであるようです。
一方、世界を見ると、大麻の栽培はどうなっているのでしょうか?
OECD(経済協力開発機構)30カ国の大麻について、状況をみておきたいと思います。
悪法!!「大麻取締法」の真実 船井幸雄 ビジネス社より引用します。
なお、経済開発協力機構の用語は、引用先の記述のままとしています。
栽培推進国(23カ国) | 非栽培国(5カ国) | 栽培抑制国(2カ国) | |
1 | イギリス | ベルギー | 日本 |
2 | ドイツ | デンマーク | アメリカ合衆国 |
3 | フランス | ギリシャ | |
4 | イタリア | アイルランド | |
5 | オランダ | ルクセンブルク | |
6 | フィンランド | ||
7 | スウェーデン | ||
8 | オーストリア | ||
9 | スペイン | ||
10 | チェコ | ||
11 | ハンガリー | ||
12 | ポーランド | ||
13 | スロヴァキア | ||
14 | カナダ | ||
15 | メキシコ | ||
16 | オーストラリア | ||
17 | ニュージーランド | ||
18 | スイス | ||
19 | ノルウェー | ||
20 | 韓国 | ||
21 | トルコ | ||
22 | ポルトガル | ||
23 | アイスランド |
すでに世界中で、大麻を危険な薬物として捉え、規制を強化しようとしている国は、日本だけといっていい状況です。
もともとは、アメリカが政治的な理由で、世界的に大麻禁止を進めたとされますが、今では、大麻の研究が進み、アメリカが喧伝したような毒性がほとんど無いことに世界中が気付いてきて、有用性が分かり始め、各国とも栽培を奨励して、研究開発を進めている状況になっています。
あくまで筆者の意見ですが、大麻を禁止したかった大きな理由は、大麻が石油産業と競合し、石油産業の多くが大麻に置き換わってしまうためであったと考えています。
言い換えると、大麻および大麻産業は、石油産業と原子力産業を無くしてしまうくらいのインパクトがある産業に変身できる可能性があるといえます。
一説では、アメリカ全土の6%で大麻を栽培すると、大麻からできるヘンプオイル(バイオディーゼル燃料)やバイオエタノールをはじめとした燃料で、アメリカ国内すべてのエネルギー需要をまかなうことができるという試算があるとされます。
バイオディーゼル燃料は、従来のディーゼルエンジンにそのまま使え、石油由来の軽油を使った場合と異なり、硫黄酸化物の排出が無くなり、黒煙も3分の1程度になるとされています。
また、石油製品が大麻由来のものに置き替え可能ということで、すでにプラスチック類が大麻由来のものに置き換えられてきています。
つまり、もうすでに、大麻(ヘンプ)由来の製品が一般的に出回っており、知らないうちに、身近なところで使われています。
知っている方も多いのではと思いますが、車では、1990年代の後半から、メルセデスベンツが内装材として採用し、BMWやアウディなど、植物性プラスチックの採用が進んでいるとされています。
この例では、従来はガラス繊維だった内装材の置き換えとして、大麻(ヘンプ)素材が使われたそうで、石油由来のプラスチックよりも、軽量で強度に優れている利点があるとされています。
現在では、まだ大麻(ヘンプ)線維を石油由来の樹脂に混ぜることが主流なようですが、大麻(ヘンプ)の主成分であるセルロースから樹脂を作る技術が進んでいくと、石油由来のプラスチックは、すべて大麻(ヘンプ)などの植物由来のものに変わっていくのではないかとされています。
そして、こうした大麻(ヘンプ)の主成分であるセルロースは、ほとんどが茎の部分に含まれているため、残った種子は、さらに食用などで使えるとされています。大麻(麻)の種子は、七味唐辛子のなかにも入っていますし。
大麻の特長や産業用途などをまとめると次のようになります。
▼大麻の特長
- 病害虫に強く、農薬や化学肥料を使わずに栽培可能
- 連作障害がない
- 3か月で約3メートルまで成長する
なお硝酸態窒素の汚染除去(汚染の吸着)や土壌改良にも大麻が有効とされます。また、チェルノブイリの放射能汚染では、土壌改良の実験にも使われたとされ、放射能汚染の除去にも有効な可能性があります。
ちなみに、ロシアや中国では、これまで大麻は規制されてきておらず、昔も今も、医薬品や産業用途で幅広く使われているとされます。それでも、みんな大麻中毒になっているのかというと、おそらくそれはないのではと思います。筆者の推測ではありますが。
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▼現時点で分かっている産業用途(医療含む)
- 衣服
- 紙
- 建材(建築用木材の代替含む。屋根や壁、断熱材、繊維強化コンクリート)
- プラスチックなどの樹脂製品
- 食品(種子)
- 燃料(バイオディーゼル燃料、バイオエタノール)
- 医薬品
- 繊維製品(縄や麻糸、手工芸品など)
- 化粧品
- 肥料
- 麻炭(火薬原料や水質浄化剤、土壌改良剤、消臭剤)
- そのほか石油化学製品全般(合成繊維、合成ゴムほか)
ほかの国では、今もどんどん開発を進めていますので、日本国内の議論は、もはやナンセンスとも言えるものですが、中期的には、政府や支配層がどれだけ禁止したとしても、世界的な流れは解禁方向に傾いているために、日本でも時間の問題で解禁される可能性が高くなってきていると、筆者は考えています。
参考にした書籍(悪法!!「大麻取締法」の真実 船井幸雄 ビジネス社)では、大麻をうまく運用すれば、日本だけでも10~30兆円の経済効果をあげそうだという意見が述べられていました。
筆者としては、部分的(産業用途のみ)で十分なので、一刻も早く大麻の規制を緩和して、まずは石油代替製品などの研究開発に取り組むべきであると思っています。それも、他国より先んじてやるべきなのは、いわゆるナノ系の微細樹脂などの技術に取り組むべきではないかと思います。
いずれにしても、まずは経緯や事実を知ることが重要であると思っています。
筆者は大麻の現物を見たことはなく、残念ながら、その恩恵を受けているのは洋服くらいのものですが、将来的には、いろいろな恩恵を得られるようになることを期待しています。
最後にポイントをまとめておきます。
- 日本においては、大麻は、GHQの指示によって1948年に作られた大麻取締法によって禁止されている。日本の歴史を振り返ってみると、大麻(麻)は、古来から日本の分化と深い関わりがあったとされ、特に皇室や神社と関係があるとされる。これまでの日本の歴史の中で大麻が禁止されているのは、ここ70年くらいだけであるようだ。
- すでに世界中で、大麻を危険な薬物として捉え、規制を強化しようとしている国は、日本だけといってもいい状況。
- これまで大麻を禁止しておきたかった大きな理由は、大麻が石油産業と競合し、石油産業の多くが大麻に置き換わってしまうためであったと考えられる。大麻および大麻産業は、石油産業と原子力産業を無くしてしまうくらいのインパクトがある産業に変身できる可能性は高い。
- 大麻は、病害虫に強く、農薬や化学肥料を使わずに栽培可能で、連作障害がなく、3か月で約3メートルまで成長するとされる。
- 部分的(産業用途のみ)で十分なので、一刻も早く大麻の規制を緩和して、まずは石油代替製品などの研究開発に取り組むべき。それも、他国より先んじてやるべきなのは、いわゆるナノ系の微細樹脂などの技術ではないかと思われる。
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