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クシマクロビオティックスから見た、化学的に作られた肥料や農薬を使って栽培された野菜類について、筆者の意見を交えながら説明します。

クシマクロビオティックスでは、営利優先で、化学的に作られた肥料や農薬を使って大量生産される野菜類は、避けるように教えています。

この理由は、次の3点に集約されるようです。

  1. 土壌が劣化し、採れる野菜の栄養価が低かったり、栄養価に偏りがあったりするため。
  2. 化学栽培により、採れた野菜に化学物質が移行するため。硝酸態窒素の汚染もその1つ。
  3. 遠隔地から輸送することが多いために、人工的な保存技術や保存処理を使うことがあり、質的な低下がある。また、収穫後の時間経過により、栄養価が落ちているため。

当サイトでは、こうした化学的な処理を行っている肥料や農薬を使った農作物の栽培法を「慣行栽培」と呼びます。つまり、慣行栽培の野菜類は、可能な限り避けたほうがよいとされます。

慣行栽培の農作物は、傾向として、溶けるように腐ります。
一方、有機栽培やそれに準じたような栽培法で作った農作物は、傾向として、腐らずにしなびていきます。

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久司道夫 久司アヴェリン偕代共著 マクロビオティック食事法<上> 日貿出版社より引用します。

健康と活力を維持するためには、化学的・工業的に大量生産された食品はすべて、食べないようにするか、ほんのわずかしか食べないようにしたほうがよい。食べるべきではない食品は、たとえば、インスタント食品、罐詰食品、冷凍食品、精製穀物や精製穀物粉、農薬や化学物質を吹きつけられた食品、着色された食品、放射線を浴びさせられた食品、その他、添加物、防腐剤、安定剤、乳化剤、人口着色料などの化学物質を含むすべての食品。

参考までに、有機栽培作物と無機(化学)栽培作物に含まれた栄養素の比較を記載します。
微量元素などのミネラルに限っていうと、慣行栽培で作った農作物は、有機栽培のものに比べて、およそ4分の1程度になっています。アメリカの例です。

ふたたび上記書籍より引用します。

乾燥重量中のパーセンテージ 乾燥重量100グラム中に含まれる量(ミリグラム) 乾燥重量100グラム中に含まれる量(グラム)
全てのミネラル分 リン カルシウム マグネシウム カリウム ナトリウム ホウ素 マンガン コバルト
サヤインゲン
有機栽培 10.45 0.36 40.5 60.0 99.7 8.6 73 60 227 69.0 0.26
無機栽培
(慣行栽培)
4.04 0.22 15.5 14.8 29.1 0.0 10 2 10 3.0 0.00
キャベツ
有機栽培 10.38 0.38 60.0 43.6 148.3 20.4 42 13 94 48.0 0.15
無機栽培
(慣行栽培)
6.12 0.18 17.5 13.6 33.7 0.8 7 2 20 0.4 0.00
トマト
有機栽培 14.20 0.35 23.0 59.2 148.3 6.5 36 68 1,938 53.0 0.63
無機栽培
(慣行栽培)
6.07 0.16 4.5 4.5 58.8 0.0 3 1 1 0.0 0.00

また、野菜類を、採れた場所から遠く離れた場所に輸送するためには、様々な保存技術を使ったり、保存処理を行うこともふつうに行われていることと思います。そのため、保存技術を使ったり、保存処理されたりして、遠隔地から輸送されてきた野菜も避けたほうがよいと教えています。

このうち、よく知られている保存処理は、ジャガイモに放射線を当てている処理などだと考えますが、単純に考えても、とても体にいいこととは思えません。

一方、輸送時に使う保存技術も多々あって、どんどん進んだ技術が使われていると思われますが、収穫した野菜は、時間の経過とともに、どんどん栄養価が低くなっていくと言われています。

ほうれん草に含まれるビタミンCは、一説では、3日でおよそ70%に、1週間でおよそ50%程度になってしまうとされます。

特に葉物野菜などが、時間の経過による栄養価の損失が大きいと言われます。

住んでいる土地で採れた野菜を売っている、直売所などが近所にあればいいですが。
すべての人が利用できるという訳にはいかないと思います。

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また、いつでも有機栽培など自然な方法で栽培された野菜が手に入るとは限らないため、慣行栽培で作られた野菜を食べる際には、次のことを行うように教えています。

  • 農薬の残留物や吹きつけられた化学物質を減少させるため、よく洗う。洗らったりゆすいだりするとき、水に少量の海塩を混ぜる。こうすると、農薬や化学物質の害が消えやすくなる。
  • 適正な方法で料理する(皮をむくなど)。

指を立てている女性のイメージ

そして、上記のような、様々な要因や理由から、やはりマクロビオティックを実践していくと、自分で野菜を栽培する方向に辿りついてくるようです。
筆者も、自分で栽培する方向に向かっています。

さらに、久司道夫 久司アヴェリン偕代共著 マクロビオティック食事法<上> 日貿出版社より引用します。

自分たちの食べる穀物や野菜は、自分たちの手で栽培するのが理想である。マクロビオティックの食事法を実践している多くの家庭では、穀物や野菜を栽培しているほか、味噌、豆腐、セイタン*、パンなども、自分たちの手で作っている。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 営利優先で、化学的に作られた肥料や農薬を使って大量生産される野菜類(慣行栽培で作られた野菜類)は、栄養価が低かったり、栄養価に偏りがあったり、化学物質の移行があったりするため避けるようにする。
  • 収穫した野菜は、時間の経過とともに、どんどん栄養価が低くなっていく。慣行栽培で作られた野菜は、遠隔地から輸送することが多いために、人工的な保存技術や保存処理を使うことがあり、質的な低下がある。特に葉物野菜などが、時間の経過による栄養価の損失が大きい。
  • 慣行栽培で作られた野菜を食べざるを得ない場合、農薬の残留物や吹きつけられた化学物質を減少させるため、よく洗ったり、適正な方法で料理したりする(皮をむくなど)。洗らったりゆすいだりするとき、水に少量の海塩を混ぜると、農薬や化学物質の害が消えやすくなる。
  • マクロビオティックを実践していくと、自分で野菜を栽培する方向に辿りついていく。

* セイタン(seitan):
小麦から取りだされたグルテン(蛋白質)を主原料とした加工食品で、マクロビオティックでは肉の代わりに使われる。グルテンミートと呼ばれることもある。海外では、セイタンという名称が一般的。グルテンを主原料にした食品は、ほかに麩が有名。

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