クシマクロビオティックスから見た、頭痛の原因と対応方法について説明します。
日本では頭痛患者が約4000万人と推定され、最もありふれた病気の1つです。
中でも、偏頭痛の患者はおよそ840万人とされ、そのうち74%が日常生活において、何らかの支障をきたしているとされます。
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頭痛は、様々な症状がありますが、一般的には、次のように分類されます。
- 日常的な頭痛
二日酔いや風邪など、日常的に起こる一過性の頭痛。ほとんどは心配する必要がない。 -
慢性的な頭痛
原因になる病気がない、または不明で、慢性的に繰り返して起こる頭痛。
頭痛の約80%を占めるとされる。頭痛患者という場合には、このタイプを指すことが多い。
慢性的な頭痛を、さらに分類すると次のようになる。- 緊張型頭痛
慢性頭痛の中では、最も多い症状。男女とも多い。頭の周りを、ベルトできつく締め付けられるような、継続的な鈍痛があることが特徴。痛みは、30分から7日間程度続き、次の2つに分けられる。痛みが出ても、日常生活にはなんとか支障をきたさないですむことが多い。1 頭痛が時々出る反復性型
2 頭痛が毎日のように続く慢性型緊張型頭痛は、身体的や肉体的なストレスが、いくつも重なり合って、首や肩、背中、頭の筋肉が緊張して起きるとされ、長時間のPCを使う作業や姿勢の悪さ、車の運転、冷えなどが原因とされる。
従来的医療では、緊張型頭痛は、反復性型の場合、特に治療は必要ないことが多いとされ、慢性型の場合、精神的ストレスがあれば抗うつ剤や抗不安剤が処方され、首や肩などの筋肉にこりがあるときに筋弛緩薬が処方されることが一般的とされる。ほかに、マッサージや入浴、体操などが薦められる。
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偏頭痛
女性に多い。こめかみから眼のあたりにかけて、心臓の鼓動に合わせるように、ズキンズキンと痛むのが特徴。痛みは、間欠的に、2~3日間続く。頭痛以外にも、吐き気やおう吐、下痢などが伴うこともある。1カ月に1~2回、多い人になると、週に1回程度、頭痛が出る。痛みが出ると、日常生活に支障をきたすこともある。従来的医療では、片頭痛は、炎症を抑え、脳の血管と三叉神経に作用するトリプタン系薬剤の投与が一般的。
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群発頭痛
20~40才台の男性に多い。「眼をえぐられるような」や「頭をキリで刺されるような」といった、耐えられないほどの痛みが出るのが特徴。痛みは、1日1~2回、15分~3時間程度続き、痛みが出るのは毎日同じ時間で、明け方のころが多い。一度痛みが出ると、毎日のように頭痛になり、多くは1~2か月程度続くとされる。痛みが無くなったあとは、何もなかったかのような、頭痛のない空白期が半年~数年続き、再び頭痛が群発のように出るという。群発頭痛のトリガーは、飲酒とされ、飲酒の40分~1時間後に頭痛の発作が現われやすい。従来的医療では、群発頭痛は、就寝前にエルゴタミン製剤やトリプタン系薬剤を飲んだり、カルシウム拮抗薬や副腎皮質ステロイドが処方されたりする薬剤投与や、純度100%の医療用酸素を毎分7リットル、15分間吸入する酸素吸入法が行われたりするのが一般的とされる。
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副鼻腔頭痛
副鼻腔の炎症(副鼻腔炎)から起こる、頭が重たいような、ボーっとするような感覚を伴う頭痛。眼の奥や眉間、おでこ、鼻の周辺などに痛みがある。従来的医療での治療は、副鼻腔炎と同様。
- 緊張型頭痛
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脳などの病気に伴った危険な頭痛
今まで経験したことのないような、激しい突然の頭痛など、意識を失うようなこともあり、緊急の入院と至急の治療が必要な頭痛。脳梗塞やくも膜下出血、脳腫瘍など、重症のことがあるため、至急、医師の診断を受けること。ただし、あまり頭痛が目立たないこともあるとされ、突然に起こる衝撃の感覚や気の遠くなるような感覚、めまい感などの普段と違う症状が、いきなり起きたときには注意が必要。
頭痛は、食事の不均衡が潜在的な要因になっていることが多く、特に、症状が出る直前に食べた飲食物に起因しているとしています。ストレスや緊張が、痛みを増加させることがあったとしても、頭痛の原因になることは稀であるとしています。
実際に、マクロビオティック食事療法を行う場合には、必ず事前に専門家に相談するようにしてください。
西洋現代医学のほかにも、対応方法があるかもしれないということは認識しておきましょう。
▼前提
致命的な症状が疑われる場合や致命的な現象を引き起こしかねない状況が想定される場合には、まずは至急、西洋医学などで医師の受診を受けてください。ここでは、予防的な観点を中心に、原因や対応方法について説明します。
1 症状
頭痛では、次のような症状が、頭痛に伴って見られるとともに、原因にもなっているとされます。
- 便秘。
- 消化不良。
- 生理不順。
- 疲労。
- 首や背中、肩に痛みやこりがある。
- 低血糖症。
- 肥満。
- 不整脈。
- 身体の冷え。
- 肝臓の異常。
2 原因
- 頭痛を、エネルギー的な観点から分類すると、前頭部と後頭部、側頭部、頭の中心部の4種類に分類され、これらの場所が、緊張したり緩んだりすることによって、頭痛が起こる。
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前頭部の頭痛は、砂糖や菓子類、はちみつなどの甘味料、果物、果汁、ビールなどのアルコール類、アスピリンなどの薬品といった、極陰性な飲食物の過剰摂取によって引き起こされる。
緊張性頭痛の一部と副鼻腔頭痛、慢性的な群発頭痛の大半が、ここに含まれる。
脈打つような、鋭く刺して割れるような痛みを伴うことが多く、暑い季節には、痛みがさらに増幅される。 -
後頭部の頭痛は、肉類や卵、チーズ、魚介類、塩気のきいた食品、パンなど硬く焼き締めた食品といった、極陽性な飲食物の過剰摂取によって引き起こされる。
緊張性頭痛が、ここに含まれる。
ズキズキしない、強く押されて締め付けられるような鈍い痛みを伴うことが多く、寒くなると痛みが強くなる。 -
側頭部の頭痛は、脂っぽい食品の過剰摂取によって引き起こされ、肝臓や胆のうから頭部へと至る経絡の循環が妨げられて起きることが多い。
緊張性頭痛の一部が、ここに含まれる。
痛みは、鈍痛のときも、鋭いときもある。一般的に、左の側頭部に起きる頭痛は、単糖類や果物、果汁、清涼飲料水、スパイス類、刺激物の過剰摂取によって引き起こされるもので、右の側頭部に起きる頭痛は、肉類や卵、チーズ、その他の乳製品を含む動物性食品、塩気の利いた食品、焼き締めた小麦粉製品、刺激物の過剰摂取によって引き起こされることが多い。 -
頭の中心部の頭痛は、蛋白質や脂肪が多い動物性食品、中でも塩漬けの肉類や卵、魚の干物などの過剰摂取によって引き起こされる。
偏頭痛が、ここに含まれる。
脳が強く締め付けられるような痛みがあることが多い。
- 上記以外の原因で起きる鋭い痛みの頭痛は、唐辛子などのスパイス類やアルコール類、コーヒーなどの刺激物の過剰摂取による。
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上記以外の原因で起きる鈍い痛みの頭痛は、食事に含まれる水分や油の過剰摂取や、食べすぎによる消化不良に起因する。
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他に、冷たい飲食物や生の油、アルコール類の過剰摂取や、食べすぎと飲みすぎ、薬物やサプリメントの過剰摂取でも、頭痛が起きることがある。
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3 症状の解消
痛みのある場所と症状を見て陰陽を判断し、マクロビオティック食事法を実践します。
陰性傾向に対応した食事(標準食から陽の要因をわずかに強調する方向で、食事内容を修正)や陽性傾向に対応した食事(標準食から陰の要因をわずかに強調する方向で、食事内容を修正)、中庸の食事のいずれかに従います。
なお以下の項目に留意します。
一部を紹介しますので、専門家への相談の際に確認するとよいのではと思います。
- 毎食の主食として全粒穀物を摂る。
玄米やオオムギ、小麦、あわ、ひえを含む雑穀など、単独で調理しても、他の穀物と併せて調理してもよい。
ただし、後頭部や頭の中心部の頭痛がある場合、蕎麦は避ける。パンなど硬く焼き締めた小麦粉製品も避ける。 - 毎日、薄味にした味噌汁を摂る。
- 様々な種類の野菜類を摂るが、トマトやジャガイモ、ナスなど、熱帯産の野菜は避ける。
- 生のサラダは避ける。
- 動物性食品は、魚介類以外は避ける。どうしても食べたいときは、1週間に1回、白身魚を食べる。
- 前頭部の頭痛では、醤油番茶や梅しょう番茶、梅しょうくずを少量飲むとよい。少量のゴマ塩や小さじ一杯の鉄火味噌を摂るのも効果的。
- 頭の中心部の頭痛には、加熱調理したリンゴや温めたリンゴジュースなどを飲むとよい。
4 留意点
- 生命の危険が伴う合併症が疑われる場合には、緊急な医療処置が必要である。まずは至急、医療機関を受診すること。
- 薬剤やサプリメントの服用から頭痛が起きることがある。処方薬をやめたり、使用量を減らしたりするときには、医師に相談すること。
THE マクロビオティック 久司道夫 マガジンハウス
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