クシマクロビオティックスから見た、骨と関節の疾患の原因と対応方法について説明します。
骨と関節の疾患には、骨粗鬆症や関節炎、感染症、腱膜瘤、脊柱側弯、滑液包炎などがあります。
つい最近も、筆者の身近で聞いたのですが、日常生活で、激しい身体活動をしていないにも関わらず、骨折したという話がありました。
この話は70才前後の女性で、腰椎の一部が圧迫骨折していたとのこと。
これなどは、おそらくですが骨粗鬆症から誘発された骨折ではないかと推測します。
また、2年くらい前に、20代の男性で、体の大きいかたでしたが、道でつまずいてこけてしまったところ、やはり腰椎の一部を骨折していたという話も聞いたことがあります。
詳細な原因は不明なので、あくまで筆者の推測となりますが、筆者の身の回りでは、激しい運動や、大きな事故ではない、日常生活の中での骨折が増えているようだと感じています。
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なお、現代社会では、骨や関節の硬直や腫れ、硬化は、加齢による老化が原因とされ、多くの人が骨や関節の機能低下のために、身体障害になっているとされます。
こうした場合、脱臼や骨折、関連する器官の治療には、様々な牽引機器や三角巾、ギプス、添え木などが使われ、多くの場合に、多様な薬剤や手術を含む医療処置が用いられるとされます。
しかしながら、このような骨や関節の疾患は、伝統的な社会では稀にしか見られないもので、加齢による発生も見られなかったそうです。全粒の穀物と野菜を中心にした食事療法は、生涯に渡って、健康な骨格構造を維持するために寄与するとしています。
実際に、マクロビオティック食事療法を行う場合には、必ず事前に専門家に相談するようにしてください。
西洋現代医学のほかにも、対応方法がありそうだということは認識しておきましょう。
▼前提
致命的な症状が疑われる場合には、まずは至急、西洋医学などで医師の受診を受けてください。ここでは、予防的な観点を中心に、原因や対応方法について説明します。
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1 症状
骨や関節の疾患では、以下のような症状が見られるとしています。
- 腫れや炎症、痛み
- 硬直や硬化
- 軟化や緩み、赤み
- 突出
- 歩行や曲げたり伸ばしたりするときや、身体活動に困難がある
- 膝に異常がある
- 平衡感覚に異常がある
2 原因
- 全般的に、骨や関節、骨格の構造は、他の組織と比べて、小さく締まっており緻密なもので、人体では比較的陽性な部位とされます。
健康な骨や関節は、全粒穀物や豆類、野菜類、海藻、その他の強化作用がある食品、特に味噌や醤油、自然海塩、海藻などのミネラルが豊富な食品によって作られるものとされます。 - 骨や関節は、極陰性を引き寄せる傾向があるため、砂糖や乳製品、脂っぽい食品、刺激物、スパイス類、アルコール類、薬物といったような極陰性の拡散性食品の過剰摂取によって損傷し、肉類や卵、その他の動物性食品など、酸化作用をもたらす極陽性の食品の摂取で衰弱するものとされます。
- 伝統的な、東洋医学や哲学によると、骨は、腎臓と膀胱、その関連機能によってコントロールされるものとされます。また、これらのコントロールするもののなかには、頭頂から始まって、脊椎に沿って下り、脚の先までに至る膀胱の経絡も含まれるとしています。
これらの骨をコントロールする臓器や機能に、特別な滋養を与える食品は、全粒穀物や豆類、海藻、乾物、自然海塩、自然な水などとされます。
腎臓や膀胱のエネルギーは、活力や体力、骨や関節の柔軟性、その他の骨格構造に寄与するものとしています。 - 骨や関節の腫れや炎症は、砂糖やアイスクリーム、トマトのような極陰性の食品によって引き起こされる場合と、こうした極陰性食品と同時に、肉類や卵、過剰な塩分、焼いたり焦がしたりした極陽性食品を摂取した場合があるとしています。
- 骨の軟化や変形は、極陰性の要因によるものとされます。
- 骨の硬直や変形、骨や関節の硬化は、極陰性と極陽性が併合した要因によるものとされます。
- 変形を伴った異常な骨の湾曲は、極陰性の要因によるものとされます。
- 骨の感染症は、極陰性の要因によって起きるものとされます。
- 関節の癒合*は、極陽性の要因によるものとされます。
* 癒合:傷口が塞がること。(傷となって)離れていた皮膚や筋肉などが、傷が治って付着し塞がること。
3 個別の症状について
3-1 関節炎
3-1-1 関節リウマチ(慢性関節リウマチ)
3-1-2 強直性脊椎炎(AS)
3-1-3 骨関節症(変形性関節症)
3-1-4 痛風
3-2 骨粗鬆症
3-3 骨や関節の感染症
3-4 腱膜瘤(外反母趾)
3-5 滑液包炎
4 症状の解消
個別の症状について のそれぞれの記載に従います。
すべての療法は紹介しませんので、詳細は、マクロビオティック食事療法を行う際に、専門家にお問い合わせください。
そのほか、以下のような生活様式や家庭療法があるとされます。
なお、手当ての頻度や期間は、患者の状態や症状の重さによって異なるものとされます。
- 毎食の主食として全粒穀物を摂る。
特に蕎麦(そば)は、若年者や健康な人の、骨や関節を強化する。ただし、すでに内臓に硬化や収縮症状が見られる場合には、蕎麦や粒蕎麦は避ける。
また、黒米など、黒色または黒っぽい色の穀物は、骨格の滋養となるが、関節炎などの収縮症状には陽性が強すぎるため避ける。 - 小麦粉食品は、できるだけ避ける。うどんやそうめん、全粒パスタなどの麺類は、1週間に2~3回食べてよい。
- 精製された砂糖やはちみつ、チョコレートなどの単糖類は避ける。
- 動物性食品は避ける。ただし、白身魚などの魚介類ならば、1週間に1~2回摂ってよい。
- 豆類は、特に骨や関節を強化する食品である。
特に小豆やレンズ豆、ひよこ豆、黒豆など、小粒な豆を選んで使うとよい。豆製品も定期的に使うようにする。豆製品では、特に高野豆腐がよい。 - 野菜類では、根菜類や切干大根、干しシイタケ、ケール*1などの冬野菜が、特に骨や骨格の滋養になる。
硬化や収縮の症状が見られる場合には、緑の葉物野菜が特によい。 - 油分の過剰摂取を避ける。少量のゴマ油や良質の植物油は、骨や関節の疾患の大半で食事療法に使われる。ただしドレッシングなど、生の油は摂らない。
- 海藻類ではコンブがよいが、陽性過剰な症状には収縮作用が強すぎるため避ける。
- 味噌や醤油、自然海塩を含めた塩分の量は中庸とし、陽性症状ではやや少なめに、陽性症状ではやや多めに調節する。
- 果物や果汁は、基本的には制限するか避ける。
ただし陽性過剰な症状の場合には、例外的に少量摂るようにする。
ドライフルーツやブラックベリーなどの黒っぽい果物、スイカなどは、硬化した骨や関節を緩めるにはよい。
- ふりかけ類(コンディメント : Condiment)として、鉄火味噌や塩コンブ、塩海苔、ジャコ(乾燥小魚)には、骨や関節に対する強化作用がある。
- 水分は、適量にして摂りすぎないようにするが、減らしすぎにも注意する。茎番茶や小豆のお茶、コンブ茶など、伝統的なお茶を主な飲み物とする。これらのお茶は、腎臓や骨格の滋養になるものである。
特に小豆のお茶は、腎臓や膀胱の機能向上と骨の育成に効果的である。少量の自然海塩またはコンブ1片を入れて作ったお茶を、1週間に2~3回、小さなカップに1~2杯ずつ飲むと、機能保持に役立つ。
5 留意点
- 骨折や内出血、重症な疾患が疑われる症状の場合、至急、西洋医学で医師の診断を受けること。
- 放射線による治療は、骨を膨張させ、痛みや不快感、長期に渡る合併症を引き起こす可能性があるとされます。
やむを得ず放射線治療が勧められる場合もありますが、その場合も、頻度や強度を可能な限り抑えるようにします。この場合、味噌や海藻、ゴマ塩、梅干しなど、塩気のある調味料やふりかけ類(コンディメント : Condiment)をやや多めに摂ると、放射線の影響を相殺する助けになるとしています。
*1 ケール:
アブラナ科のケールは、キャベツの一種です。キャベツは結球しますが、ケールは不結球性となり、生命力が非常に強い緑黄野菜とされています。また温帯では一年中栽培できるとされています。
栄養価が非常に高く、各種ビタミンやミネラル、葉緑素(クロロフィル)、GABA(ギャバ)、食物繊維、たんぱく質なども豊富で、単一野菜では最高レベルとされているようです。また、抗酸化物質であるルテインが多く含まれています。青汁の原料とされます。
THE マクロビオティック 久司道夫 マガジンハウス
そのほか、クシマクロビオティックスコンシェルジュの資格認定プログラム、以下の書籍を参考にさせていただきました。
- マクロビオティック自然療法 久司道夫 日貿出版社
- 地球と人類を救うマクロビオティック 久司道夫 文芸社
- マクロビオティック健康法 正食のすすめ 久司道夫 日賀出版社
- マクロビオティック入門 久司道夫 かんき出版
- 専門家への相談窓口
クシマクロビオティックス・コンシェルジュ検定事務局
住所:〒164-0003 東京都中野区東中野1-57-9 401 (株)スパイラルアップ内
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