雑穀は、米以外の穀物のことを指します。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれているとされます。
食べてみると、意外と、というか思った以上においしく感じるのではないかと思います。
食べかたは、ふつう玄米などに加えて、炊いて食べます。1種類ではなく、数種類の雑穀を組み合わせてもおいしいです。
玄米などに雑穀を加える割合は、全体の1割くらいを目安にします。炊きかたや水加減は、玄米だけの場合と同じで大丈夫です。
産地や栽培方法に気をつけて入手し、積極的に摂るとよいと思います。
1 あわ
イネ科の穀物。
ひえと並び、日本では縄文時代から栽培されていた穀物。原型は、雑草のエノコログサと推定され、稲が日本に伝わる前は、主食とされていたと考えられています。
日本で栽培されるのは、ほとんどが「もちあわ」とされ、全国的に栽培されています。うるち種のあわは、おもにアレルギー患者の代替食として使われています。ポリフェノールやビタミンB群、ビタミンE、パントテン酸、ナイアシン、カリウム、鉄、亜鉛が豊富。特にパントテン酸は、雑穀の中では特に含有量が多いとされます。
あっさりとしてくせがなく、食べやすい雑穀とされ、おこしなどお菓子類の材料としても、よく使われます。あわの名前は、風味が淡い(あっさりしている)ことに由来しているとされます。
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2 きび
イネ科の穀物。
小粒で、色は黄色。黄色の色素成分は、ポリフェノールとされます。中央アジアの原産とされます。日本で栽培されているのは、ほとんどが「もちきび」とされ、全国的に栽培されています。乾燥に強く、生育期間が短く、収穫にも手間がかからないとされますが、鳥害を受けやすいとされます。ビタミンB1やビタミンB2、ナイアシン、亜鉛が豊富。
コクや甘みが強く、あくも出ます。そのため、洗ったあとはしばらく水に漬けておくとよいといいます。冷たくなっても、もちもちした食感があるとされます。
3 ひえ
イネ科の穀物。
あわと並び、日本では縄文時代から栽培されていた穀物。
原産地は、縄文時代に中国から伝わったという説や、日本が起源であるという説があります。名前は、「冷え」に耐えることからひえと呼ばれたものとも言われるほど、寒さに強く、寒冷地や高地でも栽培できるとされ、救荒作物としても利用されてきたと言われます。
自然ではうるち種だけですが、近年ではもち種が開発され、育成されているとされます。くせがなく、食べやすい雑穀とされますが、粒が小さく、冷たくなるとぱさぱさになるといいます。米に劣らない蛋白質を含み、ビタミンB6やナイアシン、パントテン酸、カリウム、リン、亜鉛が豊富とされます。
4 高きび
イネ科の穀物。
原産地はアフリカで、紀元前から栽培されていたと考えられ、日本には14世紀ごろに中国から伝わったらしいと推測されています。実を粉にして主食にしたり、ビールの醸造原料として使われたり、穂は蓑(みの)として使われたり、飼料や壁の材料、燃料に使われたり、様々な用途に使われるとされます。
ポリフェノールやカリウム、リン、ビタミンB1、ビタミンB6が豊富とされます。
弾力のある噛み応えと、味にコクがあるとされ、ひき肉の代用素材としても使われるそうです。
5 オオムギ
イネ科の穀物。
原産地は中近東で、日本には縄文時代後期から弥生時代のころ伝わったとされます。
穂の形状によって、六条大麦と二条大麦の2種類に分けられ、一般的には、六条大麦が食用やお茶に、二条大麦はビールの原料に使われるとされます。
六条大麦は邪馬台国の卑弥呼が栽培を奨励したとも言われるほど、日本では古くから栽培される一方、二条大麦は明治以降に日本に入ってきたものとされます。
一般的には、精白した大麦を「丸麦」と呼び、丸麦を押しつぶして食べやすく加工したものを「押し麦」、米のような形状に加工したものを「米粒麦」と呼びます。特に食物繊維が多く、それも水溶性繊維の含有量がとても多いとされます。食物繊維は、白米の10倍以上の含有量とされます。またビタミンB群も豊富とされます。
大麦の効能として、コレステロールや食後の血糖値を低下させる効果があると言われます。
扱いが簡単で、白米と同じように、炊飯器でふつうに炊けるとされます。
6 ハトムギ
イネ科の穀物。
川の近くで見かけることの多い多年生植物であるジュズダマの変種とされます。
原産地は東南アジアで、日本には江戸時代に中国から薬用として伝わったとされます。
中国では古くから漢方薬や滋養強壮食として使われており、日本でも薬用や食用、お茶用などで使われてきたとされます。美肌効果や新陳代謝の促進、利尿、解毒の作用があるとされ、日本では「いぼ」を取る薬とされ、皮膚のトラブル改善に硬化があるとされてきました。
漢方薬としては「ヨクイニン」と呼ばれます。
大学の研究では、ヨクイニンに白血病や悪性黒色腫(皮膚がん)、肺がんなど、がん細胞を抑える抗腫瘍作用、抗ウイルス作用、抗菌作用が確認されています。
蛋白質やカルシウム、カリウム、鉄、ビタミンB群、脂質、糖質などがバランスよく含まれ、アミノ酸含有量も高いとされます。粉っぽく硬めの噛み応えがあるとされます。
多く流通している精白した丸粒状のものは、圧力なべで炊くとよく、挽き割りされたものは炊飯器でも炊けるといいます。
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7 蕎麦(そば)
タデ科ソバ属の穀物。
普通種とダッタン種、シュッコン種があります。
原産地は東アジアで、中国南部の山岳地帯が発祥とされ、日本には8世紀までに伝わったとされます。蕎麦の栽培は、山間の寒冷地が適しているとされ、平野の寒暖差のない土地では育ちにくいとされます。そのため日本では、おもに信州の山間地域や東北、北海道などで栽培されます。蛋白質やビタミンB群、ミネラルのほか、ソバ特有の成分でポリフェノールの一種であるルチン(ビタミンP)を含み、栄養価の高い食品とされます。
特にダッタン種は、ルチンやカルシウム、マグネシウム、ビタミンB2含有量が多いとされます。ルチンには血圧降下作用があるとされます。
また、かつて白米を食べることの多かった江戸時代の武士階級では、ビタミン欠乏症(江戸病=脚気)が多く、ビタミンB1の豊富な蕎麦を食べさせて治したと言われます。
8 アマランサス
アマランサスは、ヒユ科の栽培植物の総称とされます。
60の属の中に800の種があり、観賞用や野菜用、穀実用などに約10種類が栽培されているとされ、雑穀としては、センニンコク(仙人穀)、ヒモゲイトウ(紐鶏頭)、スギヒモゲイトウの3種があるとされます。
古くから栽培され、紀元前5000年~紀元前3000年には、アンデス南部の山岳地帯でアステカ族が栽培していたとされ、トウモロコシやインゲンマメなどに並ぶ重要作物であったと言われます。
日本には、江戸時代にヒモゲイトウが観賞用として導入され、東北地方では食用に栽培されていたと言われています。ビタミンB6や葉酸、亜鉛の含有量が特に高く、ほかにカルシウムやビタミンE、パントテン酸、カリウム、リン、マグネシウム、食物繊維、蛋白質、必須アミノ酸が豊富とされます。特にカルシウムは、白米の32倍(玄米の17倍)とされ、その高い栄養価からスーパーグレイン(=驚異の穀物)とも呼ばれます。
また、種皮が軟らかく、精白しないで全粒のまま食べることができ、これが高い栄養価の一因とされます。ただし、独特の香りがあるため、料理に使うときは加減が必要とされます。
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