玄米の、生存食料としての有効性を含めた見解について、クシマクロビオティックスおよび筆者の推測を交えて説明します。
人間が健康でいるために必要な栄養素をできるだけ多く含んでいて、入手もしやすく、保存も比較的簡単な、防災用としても使える食品は何でしょうか?
筆者も、以前、いろいろ調べたことがあります。
いろいろ調べた結論としては、「玄米」になりました。
玄米を主食にした場合、ご飯のほかにみそ汁などのスープを摂るだけで、十分に生存可能です。ようするに昔ながらの一汁一菜ですね。
人間が健康を保つために必要とされる栄養素がほとんど摂取できるため、玄米は「完全栄養食」とも言われます。
極端なことをいうと、玄米と塩(自然海塩)さえあれば、比較的短期間にはなってしまうと思いますが、健常者であれば十分に生存は可能です。この場合、ビタミン欠乏が懸念されますが、もし知らない方がいましたら、ぜひ覚えておきましょう。
日本の戦後の混乱期に、玄米とわずかな塩気だけしか摂るものがなかったが、栄養失調にもならず助かった、という話を、筆者も聞いていました。たとえば、玄米だけ持っていた場合、玄米のほかに、浜辺で海藻をむしって食べれば生き抜いていけます。
つまり、防災用の保存食料として加工食品を買い込み、サプリメントを常備するという方向とは別な方法が存在します。
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クシマクロビオティックスでは、玄米を含む精白しない完全穀類を、もっとも重要な食品としており、日常の食事の中で、重量にして40~60%を食べることを推奨しています。
そして、この割合を、肉体的状態や心理的状態、気候など環境的な要因、料理法の違い、副食品の種類と量などによって、変えることを教えています。
たとえば、神経を使う仕事では、しばらくの間、完全穀類を60~70%にしたり、肉体を酷使している仕事では、50%ほどに抑える必要があるとしています。
また、炊く際に、コンブの小片を加えたり、ひとつまみの塩を加えたりすることも推奨されます。
白米については、やはり可能な限りやめるようにして、もし玄米が食べにくい場合には、食べる直前に精米し、3分精米(3分づき)か5分精米(5分づき)くらいにして食べることが良いと思います。
日本の歴史としては、江戸時代中期から、江戸(東京)を中心に庶民が白米を食べるようになったといいます。そして、そのためにビタミン欠乏症(江戸病=脚気)が多くなり、ビタミンB1の豊富な蕎麦を食べさせて治したと言われます。
身体に必要な栄養素が少なくなってしまっていたり、化学調味料や化学添加物を加えた加工食品がまん延したりしている日本では、ビタミンやミネラルの不足に陥らないためにも、白米は可能な限り避けたほうが無難と思います。
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一方で、玄米に反対する方の中には、毒性があると主張する方が多いです。
これは玄米に含まれる解毒作用のあるフィチン酸のことを指して、主張していると思いますが、現在の日本国、それも関東圏では特に、害よりも益のほうが多いと筆者は考えています。
このフィチン酸は、天然の抗酸化剤とも呼ばれ、体内の有害物質を排出するキレート効果が高く、活性酸素の活動を抑えるとともに、癌細胞を殺すNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させると言われています。
ただし、確かに毒にもなりかねない性質とは思いますので、心配な方には、食べる際の注意として以下を挙げておきます。
- 炊く前に水に漬けること
時間が許せば一晩、一説には4時間以上漬ければ問題ないとされる。 - よく噛んで食べること
口の中で、唾液に含まれる酵素が、消化を容易にする。
いろいろ書きましたが、やはり玄米は日本人の主食として推奨できます。
防災用としても有効ですので、圧力なべを使って炊いたり、クリーム状にしたり、雑穀を混ぜてみたり、食べかたを工夫していくとよいと思います。
その際の玄米は、産地と残留農薬などに気をつけるようにして、信頼のおける生産者から直接購入するのがいいのではないかと思います。胚芽に、残留農薬など毒素になるものが蓄積するとされますので、無農薬栽培のものをお薦めします。
最後にポイントをまとめておきます。
- 玄米は、人間が健康でいるために必要な栄養素を含んでいて、入手もしやすく、保存も比較的簡単な、防災用としても使える食品。
- 毒性の軽減には、炊く前に、時間が許せば一晩、そうでなければ4時間以上、水に漬けるとよい。また、唾液に含まれる酵素が消化をよくするため、食べる際にはよく噛んで食べること。
- 産地と残留農薬などに気をつけるようにして、信頼のおける生産者から直接購入するのがよいと思われる。
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