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長崎への原子爆弾投下時に、アルコールを飲んで助かったという話があります。

広島では日本酒でしたが、長崎では日本酒のほかにエチルアルコールの話がありました。
また、詳細は確認できていませんが、アル中(アルコール中毒)の人がよく助かったらしいといった話もあります。

そのほか、核シェルターには酒が常備されているらしいという話を聞いたことがあります。もし実際に置かれているとしても、この長崎の話が置かれた理由なのかは分かりません。

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ちなみに、災害時の防災用品として、酒、それもウイスキーなどの強い酒を常備しておくことは、普通のことです。この場合は、主に気つけ薬としての用途です。

なので、よくは分かりませんが、こういった事実が存在するということで、備忘録的に載せておきます。

長崎の写真1

秋月辰一朗著「死の同心円 ―長崎被爆医師の記録」*より引用します。

『長崎精機原子爆弾記』には、つぎのような福田所長の体験記が収められている。

反工師は爆心地から千五百メートルの距離で、防空壕の下検分をやっているとき、露天で被爆して負傷した。彼はその日の夕方、田中工務課長のいるところにたどりついたが、焼けただれて、課長はすぐには反工師とはわからなかったという。

「君はだれかね」

「反です。田中さん、やられましたよ。どうせ長いことはない。どうせ死ぬなら、一杯やりたいもんだ。酒はありませんか」

「酒はないが、アルコールならある」

反工師は、火傷をしているのに、チビリチビリとアルコールをうすめて飲みはじめた。身体が燃えるように熱く感じて、工場の外の川に身を浸して、飲みつづけた。

彼はその後元気になったが、おなじ場所で同じように被爆した三人は、一週間以内に死んでいる。これで、原爆には酒がいいという話が広まった。

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同著*には、ほかにも、以下のような例があげられています。
この調来助教授は、生存した体験について、いろいろなところで話しているようです。

なお、長崎大学原爆後障害医療研究所の資料収集保存・解析部に掲載されている長崎原子爆弾の医学的影響を見ると、長崎では1km以内で被爆した人のうち、無傷でも94.1%、外傷を負った者の96.9%、熱傷を負った者の96.7%が初期段階で死亡しています。

長崎医大病院で被爆した調来助教授は、爆心地からわずか六百メートルの病院内で被爆し、永井隆先生や角尾学長の手当てに奔走し、大勢の負傷者を治療したが、八月末ごろから身体に異常を感じ、九月にはいって、亜急性放射能症が悪化した。先生自身、死を覚悟していたが、たまたま九月二十日ごろ、医専の三年生がやってきて、先生のところに泊った。

白血球二千、疲労感激しく、溢血斑が無数にあらわれていたので、学生に夜どおし話をしかけられて、ほとほと困ったらしい。早く寝てくれないかと思っていると、学生は土間にあったアルコール瓶を見つけ、糖液で薄めて飲みはじめた。

「先生もいかがですか」

「そんなものを飲んで、死んでも知らないよ」

「だいじょうぶです。メチルでなく、エチルですから…。さ、どうぞ」

すすめられるままに飲むと、急に身体が温まり、いくらしゃべっても疲れを感じなくなった。学生が帰ってからも、先生は朝夕、薬がわりにアルコールを飲んだ。すると、ぐんぐん力がついて一時は危篤といわれたのに、まもなく起きあがれるようになった。アルコールが効いたとしか考えられないのである。

こういう例はいたるところにあったらしい。なにが効くかわからない。人間の腸粘膜の細胞は、ふしぎなものである。

アルコールを飲んで助かった事実もさることながら、秋月辰一郎医師の最後の1文にある「人間の腸粘膜の細胞は、ふしぎなものである」という箇所の、「腸粘膜」に注目したいです。

秋月辰一郎医師は、どうも腸に効くことが、生存につながるのではないかと気付いていたのではないでしょうか。今では、免疫力を司る、免疫細胞が最も多く存在する臓器は、腸と言われています。

光のイメージ

そのほかにも、以下の記載があります。こちらは推測になりますが、日本酒のようです。

『炎の中に』の著者である田中衛生兵長は、千四百メートルのところで被爆したが、その日の午後、長崎駅から大波止のほうへ歩いていくと、五島町に長崎随一の酒屋があり、酒倉に人々が群がって、フラフラになるほど酒を飲んでいるのを見かけた。

田川さんも、水がわりに飯ごうになみなみとそそいで大酒を飲み、疲れと酔いで、そのまま寝てしまい、やっと日が暮れてから大浦に帰りついた。人々は泥と血にまみれ、足もとがおぼつかない田川さんを見て瀕死の重傷と思ったが、ふしぎなことにすっかり元気になっている。とうとう急性あるいは亜急性の放射能症は出なかったのである。

最後にアルコールについてまとめます。

  • 長崎への原子爆弾投下時に、アルコールを飲んだことで助かったのではないかとされる事例が複数存在する。
  • 事実としては存在するが詳細は不明。飲用を勧めることではない。
  • この事例の結果として置かれたのかは不明だが、核シェルターにもアルコールが常備されているといった話がある。ちなみに、気つけ薬としての用途では、災害時の防災用品として酒、それもウイスキーなどの強い酒を常備しておくことは普通のこと。詳細は不明。

* 死の同心円 ―長崎被爆医師の記録 長崎文献社

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