クシマクロビオティックスから見た、出血や貧血などの血液疾患の原因と対応方法について説明します。
現代日本において生存を考えるとき、非常に重要となるのが、血液や体液の状態と思われます。
どんな異変が起こるにせよ、その前段階として、軽度の異変や兆候が現れてくると考えます。その軽度の異変や兆候の段階で、予防的に対処することを目指すのが、これから最も重要になると思います。
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西洋医学以外に、どのような対処があり得るのかを知る意味でも、情報をまとめてみました。何かのお役に立つことがあれば幸いです。
実際に、マクロビオティック食事療法を行う場合には、必ず事前に専門家に相談するようにしてください。
西洋現代医学のほかにも、対応方法がありそうだということは認識しておきましょう。
▼前提
致命的な症状が疑われる場合には、まずは至急、西洋医学などで医師の受診を受けてください。ここでは、予防の観点を中心に、原因や対応方法について説明します。
1 血液について
血液は、体重の約8%を占めているとされ、日本人の成人では平均して体重1kgにつき約80mlあると言われています。体重を60kgとすると、4800mlの血液が流れています。
人間の血液は赤血球、白血球、血小板、血漿からできています。
血液のうち55%を占めているのが血漿で、残りの45%が赤血球や白血球、血小板になります。
マクロビオティックでは、血液は食べものと直結するものと考えており、毎日の食事を変更することで、血液の質を高めることも、低めることもできると教えています。
あらゆる病気や異常は血液の質に関連しているものとされ、バランスが取れた食事法を行うと、健康な血液を造り、大半の疾患を予防するものとしています。
2 症状
血液疾患の代表的な症状は以下となります。
- 出血
- 顔面蒼白
- 手足が冷えている
- 不整脈がある
- 低血糖値である
- 活力が喪失した
- 全身に疲労がある
- 頭痛がある
- 神経が過敏もしくは鈍感になった
- 貧血
- 精神的、感情的に不安定
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3 原因
極陰性や極陽性の食品の摂りすぎなど、以下が一般的な血液疾患の原因とされます。
- 砂糖やチョコレート、はちみつ、精製された甘味料、牛乳や乳製品、油、精白された穀物、熱帯産の果物や果汁、スパイス、アルコールや薬品などの極陰性食品によって血液の状態が悪くなっている。酸性の効果を生み出すものが多いために、血液の状態を酸性化し、体内の弱アルカリ性の状態を維持するため、肺や腎臓、脾臓、心臓など主要な臓器が酷使されている。
- 血液は、酸性症を解消するために、歯や骨に貯蔵されているナトリウムやカルシウム、リンなどのミネラル分を溶かし出し、臓器と歯や骨などの機能を弱めても、血液を弱アルカリ性に維持しようとする。
- 肉や卵、チーズ、魚介類などの極陽性の動物性食品は、血液の濃度を濃くし、食品に含まれた脂肪が酸化を促進する。これらの食品は、塩分や小麦粉焼成食品の摂りすぎと同様に、血液の凝固をもたらし、塞栓症などの主要原因になっている。
4 個別の症状について
4-1 貧血
4-2 出血や出血しやすい症状
4-3 血友病
4-4 ビタミンB12の摂取について
4-5 再生不良性貧血について
5 症状の解消
個別の症状について のそれぞれの記載に従います。
ほかにも注意点や特別な料理や飲みもの、外側からの家庭療法など、多くの対応方法が紹介されています。一部だけ紹介しますので、専門家への相談の際に確認するとよいのではと思います。
- 精白されていない全粒穀物を毎食食べる。
- 長ネギを入れた味噌雑炊を頻繁に食べる。味噌雑炊は、血液の質を高め、循環を促進する助けになるので、3~10日間は毎日食べる。
- 玄米もち入りの味噌汁を、週に2~3回食べる。玄米揚げもちも血液強化の助けになる。
- 味噌汁を含めたスープ類は、時々ワカメなどの海藻や野菜、豆類、穀物なども入れて造るようにする。
- パンやクラッカーなどの小麦粉製品はできるだけ避ける。ただし、精白していないサワードウ・ブレッド*1などのパンなら、週に2~3回食べてよい。
- 野菜類は、特に鉄分が多い、ケール*2やからし菜、カブの葉といった葉物野菜を多めに摂るようにする。根菜の煮しめや小豆カボチャコンブもよい。炒めた野菜も週に数回摂る。この場合、少量のゴマ油を使ってよい。
- 血液や体液の循環を促進するため、毎日、朝晩に身体を擦って摩擦する(ボディースクラブ)。
- 努めて体を動かす。酸素の供給量が増え、血液が強化される。
6 そのほか
- 腸造血について
クシマクロビオティックの観点では、通常、血液の形成は腸ではじまるとしています。
腸では白血球と血漿が造られ、その後、肝臓と脾臓の働きによって、白血球が赤血球に変化していくとしています。
この過程は、現代の西洋医学、科学的見かたでは認識されておらず、血液は骨髄で造られると考えられています。この理解が生じた理由は、血液の起源に関する古典的な実験が、鳥やマウスなどの動物を飢餓状態にさせてから実施されたことによるものと説明されています。飢餓状態になると、通常のように腸で血液が造られなくなり、それに代わって、血流の末端にあたる骨髄に貯えられた成分が、赤血球の原型に再変換されるようになるとされます。
この違いは、マクロビオティックや東洋医学では腸造血の見かたを取り、西洋医学では骨髄造血の見かたを取っているということになります。
このために、現代では、健康な血液を維持する潜在要因である食物よりも、健康な骨や骨髄に焦点が当てられているとしています。
- 血液型の差
血液型は、O型、A型、B型、AB型に分類されます。
このうちO型が最も陽性で、A型が最も陰性であるとされます。
B型とAB型は中間にあたります。
分かりやすく示すと以下のようになります。
陰陽と血液型 | ||||||||
陽性 | O型 | → | B型 | → | AB型 | → | A型 | 陰性 |
血液型の違いによる性質の差があるため、次のような注意があるとされます。
- O型とB型の人は、動物性食品や塩、小麦粉焼成食品など極陽性の食べすぎに注意する。
- A型とAB型の人は、砂糖や菓子、牛乳、乳製品、脂っぽい食品、サラダ、飲みものの過剰摂取など、極陰性食品の食べすぎに注意する。
7 留意点
- 上記で説明している食事療法や家庭療法を行っても症状が改善されない場合には、至急、西洋医学などで医師の相談を受けること。
また、事故や緊急事態、生命の危険を伴うような出血症状には、まず緊急の医療処置を行うことが重要である。 - 供給された血液の安全性について、今日では関心が高まってきている。医療の専門家によって、最善の努力がなされても、なお潜在的な致死成分が混入されている可能性が捨てきれない。
マクロビオティックの基準からすると、たとえ汚染されていない正常な血液であったとしても、供給された血液の大半が、肉類や砂糖、その他の極端な食事をしている献血者から採血されたものであるため、理想的とは言い難い。
そのため、輸血が必要な場合は、緊急事態の発生前に採決した自分の血液、もしくは、よい食生活をして健康な血液を持っている友人や家族から献血された血液を使うことが望ましい。
8 参考
陰性傾向の要因 | 陽性傾向の要因 | 陰陽併合の要因 |
典型的な症状 | ||
活力の喪失、疲労感 | 全身的な疲労感 | 全身的な疲労感 |
むくみや腫れ、炎症 | 血管の収縮 | 血管の硬化 |
赤血球の減少 | 白血球の減少(数例) | 血球比率の不均衡 |
多少の出血 | 多少の出血 | 血中のコレステロール、脂肪値の増加 |
動脈や静脈の疲弊 | 血液濃度の上昇、血液の凝固 | |
疾患 | ||
鼻血 | ||
貧血 | 壊血症 | 悪性貧血 |
鎌状赤血球性貧血 | ||
血友病 | ||
紫斑病 | ||
白血病(大半) | 白血病(数例) | |
ホジキン病 | ||
リンパ腫(大半) | リンパ腫(数例) |
*1 サワードウ・ブレッド(sourdough bread)
サワードウ(天然酵母)を使ったパン(サワードウ・ブレッド、サワーブレッド)は特有の強い酸味と風味を持っている。小麦やライ麦の粉と水を混ぜてつくる生地に、乳酸菌と酵母を主体にして複数の微生物を発酵させた、伝統的なパン。
*2 ケール
アブラナ科のケールは、キャベツの一種です。キャベツは結球しますが、ケールは不結球性となり、生命力が非常に強い緑黄野菜とされています。また温帯では一年中栽培できるとされています。
栄養価が非常に高く、各種ビタミンやミネラル、葉緑素(クロロフィル)、GABA(ギャバ)、食物繊維、たんぱく質なども豊富で、単一野菜では最高レベルとされているようです。また、抗酸化物質であるルテインが多く含まれています。青汁の原料とされます。
*THE マクロビオティック 久司道夫 マガジンハウス
そのほか、クシマクロビオティックスコンシェルジュの資格認定プログラム、以下の書籍を参考にさせていただきました。
- 地球と人類を救うマクロビオティック 久司道夫 文芸社
- マクロビオティック健康法 正食のすすめ 久司道夫 日賀出版社
- マクロビオティック自然療法 久司道夫 日貿出版社
- マクロビオティック入門 久司道夫 かんき出版
- 専門家への相談窓口
クシマクロビオティックス・コンシェルジュ検定事務局
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