クシマクロビオティックスから見た、治療のための食事のうち、主に陽性な要因によって引き起こされた異常や症状、疾患の人を対象にした食事について説明します。
- 牛肉や豚肉、鶏肉、その他の獣肉、家禽類の肉、卵、塩味のチーズ、ツナ、サケ、その他の魚介類など、極陽性とされる動物性食品は、全て避ける。
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砂糖やチョコレート、はちみつ、その他の濃縮甘味料、牛乳、バター、クリーム、アイスクリーム、ヨーグルト、その他の軽い乳製品*1、白米、精白小麦粉、その他の精白したり精製したりした穀物、果物の摂りすぎ、果汁の摂りすぎ、トマト、ジャガイモ、ピーマン、その他のナス科植物など熱帯や亜熱帯産の食品、ハーブ、スパイス類、コーヒー、紅茶、その他の刺激物、アルコール類、薬物、医薬品を含め、極陰性とされる飲食物は、全て避ける。
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パンやクッキーなど、硬く焼き締めた小麦粉製品は、全て避ける。
ただし、どうしても食べたい場合は、イーストや甘味料などを使わない全粒穀物のサワードウ・ブレッド*2などのパンなら、週に1~2回食べてよい。重症の場合には、たとえサワードウ・ブレッドでも、数カ月間または症状が改善されるまでは、完全に避ける。 -
化学薬品を添加していたり、放射線を照射していたり、遺伝子組み換えであったり、その他の人工的な加工処理を行ったりした飲食物は、全て避ける。
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できるかぎり有機栽培など、自然に栽培された食品を食べるよう心がける。特に、全粒穀物や豆類、豆製品、野菜、油、ふりかけ類など、有機栽培かそれに準じた自然な栽培方法で作られたものにすること。
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- 電気のレンジや電子レンジで調理された食品は、全て避ける。
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食品は、できるかぎり、ガスの火や薪の火、炭火、その他の自然な燃料を使って調理する。
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個別に指示がある場合を除き、油は、良質な植物油も含め、(食事療法をはじめてから)1~2カ月間は、使用を最小限に抑える。調理する際には、鍋を拭く程度の少量のごま油を、1週間に1~2回使う。
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生のサラダは、(食事療法をはじめてから)1カ月間または症状が改善されるまでは、一時的に控えて摂らない。
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冷たく冷やした食品や、氷を入れた飲みものは、全て避ける。
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一般的に、陽性症状のための調理では、料理に使う自然海塩や味噌、醤油の分量は、普段よりもいくぶんか少なめにする。
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全粒穀物は、そのまま丸ごと使って、主食とする。
毎日の食事では、摂取量の全重量のうち50~60%は、全粒穀物または全粒穀物で作った食品を摂るようにする。
圧力で炊くときは、穀物1と水2の割合にする。味付けには、切手大のコンブをひとかけら加えて炊いたり、自然海塩をひとつまみ加えて炊いたりする。
(食事療法をはじめてから)最初の1カ月間は、オート麦は避ける。
蕎麦やセイタン*3は、個別に指示がある場合を除き、避けるか量を制限する。
全粒穀物を使った麺類やパスタは、1週間に2~3回食べてよい。
ひき割りにしたり、はぜさせたり、加工したりした穀物は、症状が改善されるまでは、避けるか量を制限する。 -
毎日の食事では、摂取量の全重量のうち5~10%は、1~2杯のスープを摂るようにする。
主なスープは、ワカメと玉ねぎやニンジンなどの野菜類を併せて、味噌で味付けした味噌汁である。時々は醤油で味付けするのもよい。
1週間に数回、少量のシイタケをスープに加えるのもよい。
味噌は、2~3年間、自然に熟成させた麦味噌や玄米味噌、八丁味噌(豆味噌)を使う。
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毎日の食事では、摂取量の全重量のうち25~30%は、様々に調理した野菜類を摂るようにする。
カブの葉やケール*4などの緑色の葉物野菜や玉ねぎやキャベツなどの球形の野菜、ニンジンやゴボウ、ダイコンなどの根菜類を含め、野菜類は毎日摂るとよい。
陽性な症状に対処するには、緑色の葉物野菜をやや多めに使う。 -
毎日の食事では、摂取量の全重量のうち5%は、小豆やひよこ豆、黒豆などの豆類を摂るようにする。
その他の豆類は、1カ月に2~3回程度なら食べてよい。
味付けには、自然海塩や醤油、味噌などを使う。
テンペや納豆、高野豆腐、豆腐などの豆製品は、時々食べてもよいが、適量に留めること。 -
毎日の食事では、摂取量の全重量のうち2%またはそれ以下の割合で、海藻類を摂るようにする。
海藻の種類は、ワカメやコンブが挙げられ、穀物を炊くときに加えたり、スープなど日々の料理に加えたりして使う。
2分の1~1枚の焼きのりも、毎日食べてよい。
コンブは、収縮させる力が強すぎるため、最小限に留める。 -
食卓に置いて使うふりかけ類(コンディメント : Condiment)は、ゴマ塩や梅干し、鉄火味噌などがある。
ゴマ塩は、最初は、標準の塩1:ゴマ18の割合で作り、2ヶ月後からは塩1:ゴマ16の割合で作るとよい。
分量は、食欲や好みに合う適量でよいが、普段よりも少なめにする。 -
様々な方法で漬け込んだ、自家製の漬物類を、1日に小さじ1杯程度の分量で、毎日摂るようにする。
陽性症状の場合、短時間漬けた漬物を、いくぶんか多めに摂るが、食べる際は、塩気を抜くために水で十分洗い流してから使うとよい。 -
動物性食品は基本的に避けるが、どうしても欲しいときは、少量の白身魚を、10日~14日間に1回食べてよい。
魚の調理は、蒸したりゆでたりして、おろしたダイコンや生姜を添えるとよい。
鮭などの背が青いものや赤身の魚や魚介類は、症状が改善されるまでは、厳密に全て避ける。 -
個別に指示がある場合を除き、果物は、少量の果物や果汁を、週に数回摂ってよい。
特にリンゴや梨、桃などの温帯地域で取れる果物がよい。できれば加熱調理したものがよいが、暑い時期には、ときどき生のまま食べてもよい。
レーズンは、単糖類が多く含まれるため避ける。 -
菓子類は、良質なマクロビオティックで作られたものも含めて、症状が改善されるまでは、全て避ける。
甘みが無性に欲しいときは、甘酒や麦芽飴、玄米米飴など、穀物から作られた甘味料を少量摂るとよい。 -
木の実や、木の実から作ったバターは、脂肪や蛋白質が多いため、症状が改善されるまでは避ける。
ただし栗は、炭水化物が多く含まれるため、食べてもよい。 -
主な飲みものは、茎番茶として、香りや刺激の強い飲みものは、全て避ける。
伝統的な、刺激や香りの強くない、麦茶や玄米茶なら飲んでもよい。
(食事療法をはじめてから)最初の2~3カ月間は、穀物コーヒーも避ける。
良質な湧き水や井戸水、フィルターでろ過した水を使い、化学薬品が添加された水道水や蒸留水、ミネラルウォーターは避ける。Sponsored link
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よく噛んでから食べること。少なくとも、一口50回以上、理想的には一口100回ずつ噛んでから食べるようにする。
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食べすぎや飲み過ぎは避ける。
- 夜遅くに食べたり、就寝前の3時間以内には食べたりしないようにする。
*1 軽い乳製品:
浮かび上がる性質や拡散する性質があるもの。たとえば生クリームやアイスクリームなど(極端に陰性傾向が強い)。
重い乳製品:
沈殿する性質や凝縮する性質があるもの。たとえばチーズなど(極端に陽性傾向が強い)。
*2 サワードウ・ブレッド(sourdough bread):
サワードウ(天然酵母)を使ったパン(サワードウ・ブレッド、サワーブレッド)は特有の強い酸味と風味を持っている。小麦やライ麦の粉と水を混ぜてつくる生地に、乳酸菌と酵母を主体にして複数の微生物を発酵させた、伝統的なパン。
*3 セイタン(seitan):
小麦から取りだされたグルテン(蛋白質)を主原料とした加工食品で、マクロビオティックでは肉の代わりに使われる。グルテンミートと呼ばれることもある。海外では、セイタンという名称が一般的。グルテンを主原料にした食品は、ほかに麩が有名。
*4 ケール:
アブラナ科のケールは、キャベツの一種です。キャベツは結球しますが、ケールは不結球性となり、生命力が非常に強い緑黄野菜とされています。また温帯では一年中栽培できるとされています。
栄養価が非常に高く、各種ビタミンやミネラル、葉緑素(クロロフィル)、GABA(ギャバ)、食物繊維、たんぱく質なども豊富で、単一野菜では最高レベルとされているようです。また、抗酸化物質であるルテインが多く含まれています。青汁の原料とされます。
THE マクロビオティック 久司道夫 マガジンハウス
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